なぜ手汗は出る?
手汗の原因は体をコントロールしている自律神経に関係しています。自律神経は交感神経と副交感神経があり、発汗に関わるのは交感神経です。ストレスや緊張、活発に行動しているときなどに優勢になり、働きが強まると汗が出るだけじゃなく、血圧や心拍数が上昇する作用もあります。
汗の種類は主に2種類あり、体温が上がった時に熱を放出させるための「温熱性発汗」、緊張や興奮など精神的な作用で起こる「精神性発汗」があります。精神的なものは「冷や汗」とも呼ばれ、手のひらや足の裏に出ることが多く、冬の手汗はこの場合が多いです。
精神性発汗は、リラックスしたときに作用する副交感神経により抑えることができ、緊張や興奮状態が続くと交感神経が刺激され手汗が出てしまいます。発汗はこの自律神経のバランスで起こっています。睡眠不足やストレス、生活習慣の乱れなどは、自律神経のバランスを乱す原因となり手汗が出やすくなります。
手掌多汗症とは?
手汗が異常にひどい場合は、「手掌多汗症」という病気の可能性があります。手掌(しゅしょう)とは「手のひら」のことです。特定の部分にだけ異常に汗が出る症状のことを「局所性多汗症」と言い、手掌多汗症はその一種です。
通常、リラックスしているときに手汗は落ち着きますが、手掌多汗症の場合、手が湿っている状態が続き、精神的な刺激があるとさらにひどくなるのが特徴です。発汗量は個人差があり、症状が重い場合は、水滴となって垂れることもあります。そのレベルは3段階あると言われています。
手掌多汗症のレベル
レベル1:手のひらが湿っている状態
レベル2:手のひらに水滴がある状態
レベル3:手のひらから水滴が垂れる状態
もし、レベル3の状態であれば専門の医師に相談することが推奨されています。
全身の汗がひどい場合
手汗だけでなく全身の汗が多い場合は、ほかの病気が考えられます。手だけの症状か全身の症状なのか見極める必要があります。
甲状腺機能亢進症(バセドー病)
甲状腺ホルモンが異常に分泌され、大量の汗、動機、手の震えなどを引き起こします。
尿病糖
当血糖の状態が続くと、末梢神経に糖尿病神経障害という合併症が起こることがあります。発汗異常、便秘、下痢、立ちくらみなどの症状があります。
結核
初期段階では、風邪に似た症状があります。微熱が長時間続くため、寝汗の原因になります。
自律神経失調症
自律神経のバランスが悪くなった状態で、体の各器官に異常をきたします。ほてりや微熱により汗をかきやすくなります。
更年期障害
女性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが乱れることで引き起ります。自律神経も乱れやすくなり、体がほてったり、大量の汗が出るなど「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状があります。ホルモンバランスの乱れは妊娠や月経によるものもあります。
その他の疾患について
褐色細胞腫、急性リウマチ、生殖器障害、プランマー病、甲状腺刺激ホルモン産出腫瘍などの疾患が原因の場合もあります。
こんな原因も!
辛いものや酸味の強いものを食べると味覚性発汗という生理現象が起こりますが、それが異常になると「味覚性多汗症」になります。原因ははっきりと解明されていませんが、メンタル面の影響が大きいと言われています。食事中に大量の汗をかいて恥ずかしい思いをしたなどの経験があると、緊張やストレスによる精神性発汗になりやすいです。また、コーヒーなどのカフェイン、タバコのニコチンなども摂りすぎると多汗につながります。
手汗を抑える方法
手汗を抑えるには下記の対処法があります。
精神の安定
手汗のことを異常に気にしたりしていると、交感神経が優位になり汗をかきやすくなります。特に冬場は気温や気圧の影響を受けやすいので、お風呂にゆっくり入ったり、深呼吸するなど副交感神経を活性化させリラックスすることが大切です。
腹式呼吸
意識的にリラックスするには腹式呼吸がおすすめです。やり方は背筋を伸ばしてお腹をへこませながらゆっくりと鼻から息を吐きます。その後は自然に鼻から吸います。息を吐く際に副交感神経の働きを高めることができるので、吐く息に意識を向けるのがポイントです。
生活習慣の改善
自律神経は体内時計にも関係してきます。不規則な生活が続いて体内時計が狂うと、自律神経に支障が生じます。食事の時間や睡眠時間を決めたり、適度な運動するなど生活リズムを整えることが大切です。ただし、神経質になりすぎるとストレスにつながるので、できることから少しずつ改善してみましょう。
ツボの刺激
ツボを刺激して汗を抑える方法もあります。効果的なツボは主に2つあります。
労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央にあるツボで、気持ちを落ち着かせる効果があると言われています。「5秒押して5秒離す」を5セットほどやるのが目安です。
合谷(ごうこく)
手の甲の親指と人差し指の骨が交わる部分にあるツボで、ストレスや神経過敏などに効果があると言われています。「5秒押して1秒離す」を5セットほどやすのが目安です。
半側発汗(皮膚圧反射)
半側発汗とは、体の圧迫された側の汗が減って、反対側の汗が増えるという性質のことです。脇の下の胸周りを腕や紐などで圧迫することによって上半身の汗を減らすことができます。この方法は本来、顔の汗を止める方法ですが手汗にも効果が期待できます。
手掌多汗症の治療法について
手掌多汗症がひどい場合は病院やクリニックなどで治療が必要な場合があります。
手掌多汗症は何科?
基本的には皮膚科でOKです。精神的な心配がある方は心療内科を受診される方もおられます。
治療法の種類
カウンセリング
メンタル面が原因で手汗が出る場合は、医師によるカウンセリングが行われます。多汗症になると「汗をかいたらどうしよう」などという精神状態から、さらに汗をかいてしまい悪循環になることが多いです。予期不安とも呼ばれ、不安要素を取り除く治療を行います。
薬物療法
ブロバンサインなどの神経遮断薬を使う方法です。交感神経によって分泌されるアセチルコリンという脳内伝達物質が作られるのを防ぐことによって発汗を抑えます。
手術
胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS手術)という方法があります。まず、脇の下を2〜4mmほど切り、そこから内視鏡と電気メスの管を入れます。そして、胸腔と呼ばれる肋骨に囲まれた部分の様子を見ながら、背骨付近の交感神経の束を10mmほど切除します。両脇から行い1時間程度で終わります。
確実性が高い手術ですが、代償性発汗という副作用が出る場合があります。手術を受けると脇の下や頭部などから出る汗も減ります。汗には体温調節の機能があるため、一部が減ると他の部分から出す必要があります。そのため胸やお腹、背中、おしり、太ももなどの汗が増えるようになります。
病院じゃなくて自宅でケアできないの?
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